時間潰しに始めたスマホゲーム
親と同居していた私は、結婚適齢期と世間では言われる年齢なのに母親と喧嘩が増え、喧嘩ばかりの毎日にうんざりして、近からず遠からずの町で一人暮らしを始めた。
ひとり好き勝手に過ごしていたが、暇を持て余すようになりスマホアプリで時間を潰せるゲームはないのか眺めていた。
なんとなく目にとまったコミュニケーションアプリ。アバターを作り、仲間とゲームをするといった簡単なもの。これなら仲間とチャットしながら時間が潰せると思い、軽い気持ちで始めた。
軽い気持ちで始めたゲームだったのに・・・
始めたゲームは難しいものではなかったが、操作方法やゲームの流れを覚えるまでは、そんなに楽しくはなかった。
一通りゲーム内容を理解してきた頃からか、たくさんの友達申請が届くようになり、全て許可して友達を増やしていた。
気の合う友達とは毎日、やりとりするようになり楽しくなってきたとき、新たに友達申請が届き、もちろん許可した。
歳が近いこともあって、仲良くなるのに時間はかからなかった。のちに大きな存在となるK君。
アバター名はA奈(K君)、女性の名前だったので安心していた。
考え方、ゲームの進め方が似ていたのですぐに意気投合。毎晩、一緒にゲームをし、遅くまでチャットで話していた。
そんな日が数週間続いたある日、A奈(K君)から「話したいことがある、このままでいるのがしんどい」と言われ、黙って聞くことにした。
A奈(K君) 「今までごねん。嘘をついていた!」
私 「うん」
A奈(K君) 「実は男なんだ・・・kっていうの。アバター2個持っててさ、このA奈は姪用に
作ったもので、姪が使わない時に遊んでた」
「ゲームだし、迷惑かけなければいいか!って思ってたけど、
おまえに嘘ついてるのしんどくなった。」
私 「そっか」
A奈(K君) 「俺が男でも今の関係は変わらないよな?今まで通り楽しくしていこ?」
私 「そだね」
私は何も言えず返事だけしていた。女性だと思っていたのに男性だったとは・・・
嘘をつかれたことに腹は立たなかったが、少し混乱はした。
複雑な気持ちのまま、いつも通りk君とやりとりをしていった。
2人の関係の変化
気の合うA奈が男性のk君と知り、しばらくかわらないやりとりをしていたが、私の中で違和感が出てきた。
やりとりをしていると、なにかモヤモヤした気持ちになり落ち着かないのだ。時間がたち私は気がついた。K君を意識してることに・・・
そんな私の気持ちを知ってか?たまたまなのか?K君が、言ってくれたの
K君「おまえ特別な存在だから!」
私 「ありがとう、私もK君は特別な存在だよ、大好きだよ!」
思わず言ってしまった。
k君「俺もだよ」
ここから2人の関係は一気に進んだ。二人っきりでゲームをしたり、個室チャットで話たりと、仲間公認の関係となった。
ずっとこのままでいられない・・・
告白から気持ちに歯止めがきかなくなり、現実に会いたくなっていった。
同じ関東に住んでいたので、お互いの休みの日に会う約束をした。
早く会いたい気持ち、恥ずかしい気持ちで当日まであまり眠れずに過ごし、当日を迎えた。
お互い車で来て待ち合わせ場所で合流、照れくさかったがやっと会えた嬉しさから、お互いニヤニヤとしていて、たいした会話もなかったのだ。
K君はゲームの中でとっても優しかったのだが、その優しさが顔に現れていていた。どんな顔でもK君だもん♪
私の車をパーキングに入れK君の車で移動、初デート!!ドライブをして、食事をして、ホテルのバーへ行った。お互い車で来ていたのでホテルに泊まることにした。
それから休みのたびに会うようになり、いろいろなところに行って幸せな時間を過ごした。
突然の報告
休みの日はお互いの行きたいところへ行って、夜はどちらかの部屋で過ごすのがお決まりの休日の過ごし方になっていた。
私は料理が得意ではなかった。料理を頑張って勉強し、A君に手料理を振る舞って美味しそうに食べてくれる姿を見るにが大好き。いつまでもこんな日が続くのだと思ってた。
A君から連絡が入り、「おやじが倒れた!これから実家に行ってくる!」とのことだった。
A君のお父さんはそのまま亡くなってしまった。お父さんは元々、心臓が悪いことは聞いていたので気にはなっていてのだが、突然過ぎだよ!
A君は一通りのことを済ませて帰ってきたのだが、お父さんは会社を経営していたため跡を継がないといけないとのこと。
実家は東北なので簡単には会えない。私は寂しかった。
いつしか会う回数が減っていたのだ。連絡も毎晩してしたのが数日に1回、週に1回、月に1回と減っていた。
会いたいけど、いま会いに行ったら迷惑かけるかな?K君の邪魔をしたくなかった。K君の気持ちを確かめたかった。でも、困らせることはしたくない気持ちが優先して我慢していた。
寂しさから私は毎晩、お酒を飲むようになり、酔いつぶれて眠るのが習慣となっていったのです。これが自然消滅ってやつなのかな・・・
今夜も飲んでいつの間にか眠ることになる。。。
kai著