インスタグラムでの出会い

彼女のインスタグラムに写った別の女性に恋してしまった. . . .

キャンプ場

保育士6年目25歳の由衣は、毎日元気な子供に振り回されながら充実した日々を過ごしていた。18時まで勤務して、両親妹と4人で暮らす家に帰る平凡な毎日。園でイベントがあり、少し疲れた水曜日の夜、「ねぇ、由衣。来週の週末、泊まりでキャンプに行こうよ!」専門学校の同級生彩未からメールがきた。ちょうど予定もないし、久しぶりのキャンプだったので二つ返事で即答した。

 

待ちに待った土曜日。彩未と待ち合わせて向かったキャンプ場。そこにいたのは、同じ専門学校時代の友人2人と男性4人。挨拶もそこそこに、宿泊先のバンガローにチェックイン。みんなでわいわい夕食づくり。もともとキャンプが趣味の8人は手際よく、定番のバーベキューを完成させた。由衣は2年振りのキャンプが楽しくて大はしゃぎだった。

お酒を飲みながら盛り上がり、気が付くといくつかのグループができていた。いつの間にか隣に雅也がいた。彼は、由衣の家から電車で15分のところに一人暮らしする商社勤務の26歳。外見は由衣の好きなタイプだった。他愛のない会話をしているうちに、由衣は雅也に惹かれていった。にこにこしていて、俗にいう「感じのいい」タイプ、ほかの人への接し方も同じですごく好感が持てた。出会ってすぐの人には心を開くことができずに人見知りしてしまう由衣だったが、だんだん心を開いていた。つい、今までの彼氏にも話したことのない未来予想図まで話していた。「27歳までに結婚したい」。すると雅也も本心を話し始めた。

ネタバレ

「実は、今回のキャンプを彩未にお願いしたの俺なんだよね」きょとんとする由衣に雅也はネタバレした。「この間、彩未のインスタに由衣ちゃんが映ってたんだ。その由衣ちゃんが超タイプだったから会わせてほしいってお願いして、あんまり構えないようにみんなでキャンプにしたんだ。今日由衣ちゃんが来てくれてうれしかったし、会えてよかったって思ってる。ありがとう」さらっとうれしいことを言ってくれた雅也に由衣はさらに好感を持った。この時から、2人の時間は始まっていた。

 

嘘のような本当の出会いから、もうすぐ一年。順調に交際を続けてきた2人は、週末を利用して、一年の記念日旅行に行くことになった。記念日は明日の日曜日。土曜日の今日は、雅也がレンタカーで迎えに来るところから始まった。今回の旅行は雅也プロデュース。「キャンプに行こう!」お決まりのデートコースだ。それだけ伝えられて出発。記念日ということはお互い理解している。むしろ、意識しまくり。道中でおいしいランチを食べて、久しぶりに見る雅也の運転する姿にドキドキしていた。

「由衣、着いたよ」そこはグランピングで有名なキャンプ場。由衣がひそかに来たいと思っていたところだった。雅也と出会ったことで結婚を現実的なものとして意識していた由衣は、自分で結婚資金を貯めるため節約生活を送っていた。雅也と一緒にいるなら、豪華なデートじゃなくてよかった。よくキャンプには行っていたけど、ここに来たいなんて言ったことなかった。雅也は共通の趣味も大事にしたうえで、いつもとは違う特別なことをしたいと思っていた。由衣は、自分がひそかに思っていた願いをさらっと叶えてくれた雅也の優しさがうれしかった。

工夫が沢山盛り込まれた夕食、北欧風の素敵なテント、記念日のことなんてすっかり忘れていた。

星空の下

「星空を見に行こう」キャンプでは恒例になっていた夜の散歩。このキャンプ場では蛍がみられるのがウリのひとつだった。緊張MAXの雅也は、内心「蛍、頼む・・・!」と願いながら由衣の手を引いて進んだ。残念ながら蛍の姿は見られず、がっかりしつつ、意を決した雅也は一言・・・「結婚しよう」・・・いろいろ考えていた言葉は全部すっ飛んだ。伝えたい一言しかでなかった。由衣は思わず「え?今日?」すっかり忘れていたが思い出した。記念日は明日のはず。「明日は帰るから、ゆっくりできる今日言いたかったんだよ。返事は?」答えなんか決まっている。「私は雅也と出会った日から、雅也と結婚したいと思ってたよ。これからもよろしくね」・・・もっとかわいらしい言葉で返事したかったのに、いつも通りの口調で言ってしまった。雅也はこんないつも通りの由衣の返事がうれしかった。笑いあう2人を祝福するかのように蛍がとんでいった。

それから数日後、雅也の両親に会いに行った。ドキドキしながら結婚することを報告すると、「早くしないかなって思ってたよ!おめでとう!由衣ちゃん雅也をよろしくね」と祝福してくれた。この両親と家族になれることを幸せに思った。

乾杯

純白のドレスで見つめるスライドショー。彩未と遊んだ時の、あの写真が映し出された。この1枚の写真から、いろいろなめぐりあわせがあって、今がある。無駄なことなんてひとつもなかった。

今日からはじまる2人の人生に乾杯。

 

 

tyumi著

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